自分は大丈夫・・・。病気の話題になると、こう言って胸を張る人がいます。ガンも生活習慣病も、すべてが他人事。自分には無縁と言わんばかりです。
でも、よくよく話を聞いてみると、その理由は「自分の体は自分が一番知っている」「これまでカゼひとつひいたことがない」「脳卒中や糖尿病、ガンの血統ではない」といった、いずれも医学的には何の保証もない、あやふやな理由ばかりです。
今日は元気いっぱいでも、明日にはぽっくり。そんなケースも身近にゴロゴロあります。
自分は大丈夫という根拠のない自信こそ、病気の大敵と言わねばなりません。
現在、猛威を振るっている熱中症でも、まったく同じことが言えます。
このところ、熱中症による死者が相次いでいるのはご存じの通り。熱中症が死に至るメカニズムは、次のように考えられています。
身体の中では、基礎代謝や筋肉の収縮などによって常に熱がつくられています(産熱)。運動などで体温が上がると、皮膚表面の血流が盛んになり、汗をかくなどして増えた熱を体外に出してくれます(放熱)。健康な状態では、この産熱と放熱のバランスがとれており、36〜37℃ の体温に保たれています。
ところが猛暑で体温が著しく上昇すると、この体温調節の機能が追いつかなくなります。その結果、体熱の影響が脳にまで及ぶようになり、意識障害や臓器不全招くという危険な状態に陥るのです。
30度、35度は当たり前。40度を超す地域も珍しくなくなった今日、私たちはこれまでの“熱中症の常識”が、どんどん覆されていることを知らなくてはなりません。
日中だけでなく、夜も危険になっています。屋外だけでなく、屋内でも患者数は激増しています。幼児やお年寄りだけでなく、20〜40代の働き盛りにも被害は広がっています。
もはや、「自分は大丈夫」などとおさまっている場合ではありません。熱中症の毒牙は人も場所も選ぶことなく、襲いかかってくるのです。
熱中症対策で大切なのは、まず生活上では「食べること」と「寝ること」。とにかく、体力を落とさないようにすることが肝要です。
体力自慢の若者でも、不眠や疲労がつづけば熱中症の好餌になりかねません。
各論としては、失われがちな水分や塩分を適宜こまめに補給する。暑いと感じたら、ためらわずにエアコンをかける。運動はもちろん、日中の外出も極力避ける。
そして、めまいや顔のほてり、筋肉の痙攣、だるさや吐き気など、熱中症の初期症状が身に起きたら、早めに救急車を呼ぶか、受診するようにしましょう。