2015年10月02日

【105】誤嚥は窒息だけでなく肺炎も恐い

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 食事の間や後にタンやセキが止まらない。微熱がつづいており、体がだるい。病院では風邪と診断されて薬を飲んでいるが、いっこうに改善しない。そればかりか、食事の量は変わらないのに体重まで落ちてきた・・・。

 こんな症状にお悩みの方は、一度、嚥下(えんげ)障害を疑ってみることをおすすめします。

 嚥下障害とは、誤嚥(ごえん)を起こしていること。つまり、食べたり飲んだりしたものの一部が食道に行かず、気道のほうに入り込んでしまっている状態です。

 喉には飲食物と空気が送り込まれてきます。そして、飲食物は食道へ、空気は気道へ。その交通整理をしているのは、俗にのど仏と呼ばれる喉頭です。

 簡単に、そのシステムを紹介しましょう。

 喉頭部は食道と気道とに道が分かれる、いわば追分け。ふだん、食道の入り口にはフタ(喉頭蓋)がかぶさっており、開いた気道には空気が流れ込んでいます。

 モノが飲み込まれると、のど仏が上がると同時に喉頭蓋が倒れて気道を閉鎖すると同時に、食道の入り口が0.5秒間だけタイミング良く開きます。

  そこに飲み込まれた飲食物が流れ込むのです。

  ところが、年をとってくると、喉頭の筋肉や開閉の指令を伝える神経の働きが低下し、喉頭蓋の動きが悪くなってきます。

 すると、気道閉鎖のタイミングが遅れ、開いている入り口からモノが気道に入り込んでしまいます。これが誤嚥です。

 若いうちなら体力があるので、誤嚥してもムセることで気道から出すことができますが、年をとって体力がなくなってくると、そうもいきません。

 特に高齢者の場合、知覚神経も衰えてきて、誤嚥していることに気がつかない場合も珍しくないそうです。

 誤嚥で最も恐いのは窒息と肺炎。窒息は説明するまでもないでしょう。正月に餅を喉に詰まらせる事故などは、ほんの氷山の一角。死に至るケースも、高齢者や幼児を中心にずいぶん増えているそうです。

 また、知らず知らず誤嚥をつづけていると、肺にたまった液体や食物が炎症を誘発。これが誤嚥性肺炎で、死亡例も少なくありません。

 冒頭に紹介した症状のほかにも、錠剤が飲みにくくなった、汁物や飲み物が苦手になった、といった変化が気になっている人は注意が必要です。

 なお、嚥下障害は一般的な内科では発見できないことも多いので、疑いのある場合は耳鼻咽喉科で、嚥下障害に詳しい医者をネットなどで探したほうがいいでしょう。

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2015年10月09日

【106】一駅歩けば糖尿病のリスクは軽減する

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「一駅歩くようにしたくらいで・・・」。しばらく前のことですが、友人にそう言われて、一笑に付されたことがあります。

 友人は40半ばのビジネスマン。多忙と運動不足でお定まりの中年太り。メタボリックが気になるというので、「会社の行き帰りに一駅途中下車して歩いたら」とすすめたところ、返ってきた言葉がこれだったのです。

 少々ムッとしましたが、残念ながらそれ以上強くすすめる説得材料もなく、そのまま話はうやむやになってしまいました。

 その直後のこと。友人の態度に何となくわだかまりを抱えていた私におあつらえ向きのサプライズが。日本糖尿病学会で、内容もズバリ「通勤時の歩行時間が長いほど2型糖尿病の発症リスクが軽減される」という研究報告がされているのを見つけたのです。

 報告したのは大阪市立大大学院医学研究科の佐藤恭子氏らの研究グループ。それによれば、2000年度に健康診断を受け、糖尿病が確認されなかった40歳〜55歳の男性8576人を追跡調査。通勤時の歩行時間と糖尿病の発症率との関係を解析したところ、次のような結果が明らかになったといいます。

 4年間の追跡で糖尿病を発症した人は約1割にあたる878人。そのうち片道歩行時間が10分以下のグループの発症率を100とした場合、11分以上20分以下のグループは86、21分以上のグループは73。

 通勤時の歩行時間が長いほど糖尿病の発症リスクは軽減されていると報告は結ばれていました。(年齢や喫煙習慣、家族歴、空腹時血糖、運動習慣など他の条件も補正済み)。

 一駅でも歩くことが糖尿病の予防に有効であることが、改めて確認されたわけです。

 さっそく件の友人に「どうだ!」とばかり電話で報告。私の執念深さに呆れながらも、どうやら今度は彼も少しはその気になったようでした。

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2015年10月16日

【107】美味しいミントココアで便秘解消

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  今回は便秘や下痢など、腸の不調でお悩みの方に、とっておきの話を紹介します。

 取材で、ある消化器内科専門の先生にお会いした折のこと。話の接ぎ穂に「妻が便秘でいらいらすることが」とこぼすと、「だまされたと思って」とイチオシで推奨してくれたのがミントココアでした。

 なんでも、便秘で受診される患者さんには、ほぼ百発百中で効果を上げているとか。

 ミントココアとは、市販のミントティ(ティーバック)にココアパウダーを混ぜ、それにオリゴ糖を適量加えただけのホットドリンク。まめな先生で、その場でつくってくれました。飲んでみると、これがけっこう美味しいんです。

 大してお金がかかるわけでもないし、これならだまされてもいいかと。

 帰宅後、さっそく妻に飲ませたところ、これが大正解。ツボにピタッとはまったようで、なんと4日間ウンともスンとも音沙汰のなかった“お便り”が、飲んだ数時間後にはめでたく訪れたのです。

 しかも・・・。いやいや、これ以上はことがことだけに差し控えますが、とにかく久々にすっきりした妻の喜ぶまいことか。ここぞとばかり、ほしかったパソコンソフト購入のお伺いをたてたところ、あっさりとOK。先生には大感謝です。

  それはともかく、以来妻はすっかりミントココアのファンに。毎日マグカップ1杯を朝夕の2回飲むようになりました。そのおかげでしょう。あれほど頑固だった便秘もすっかり解消して、今では日に2度は定期便が訪れるとか。ガス腹でポッコリ気味だった下腹も引っ込み、ウエストも1ヶ月で3センチ縮んだとはしゃいでいます。

 ちなみにミントはシソ科の1年生、または多年生の植物で、有名なのがぺパーミントとスペアミント。日本ではハッカと呼ばれています。

 先生の解説では、ミントの精油成分であるメントールや酢酸メンチル、カルボン酸などには優れた健胃作用や整腸作用があるほか、近年では副交感神経を優位にして心身をリラックスさせる働きがあることが明らかになっています。

 また、ココアには豊富な食物繊維、オリゴ糖には善玉菌を増やして腸の働きを活発にする作用があります。これらがまさに三位一体となって停滞していた腸の機能を復活させてくれるのだそうです。

 加えて、ミントココアにはダイエット効果も期待できるとか。便秘改善と減量との関係は定かではないものの、食事前に飲むことで食欲に一定の満足感が得られることもダイエットに役立つようです。

 飲んでおいしいのもミントココアの魅力。いかなる健康法も長続きしなくては意味がありません。便秘やメタボが気になる方は、気軽にお試しあれ。

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2015年10月23日

【108】五十肩に8の字ゆらし

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  関節に故障が起きて動きが悪くなったり、痛みがあって病院へ行くと、たいていのお医者さんは「周りの筋肉を鍛えましょう」と言います。

「まったくの間違いというわけではありませんが、筋肉以上に大事なものを1つ忘れています」と断じるのは“浪速の関節の達人”と異名をとる大阪・ゆうき指圧の大谷内輝夫先生です。

「関節痛の真犯人は、関節をつなげている靱帯や関節を保護している関節包の拘縮(緊張で硬くなること)。これが筋肉のアライメント(動く方向)を崩すことで痛みなどの症状が発生するのです」

 ただ、靱帯や関節包は体の奥深くにあり、筋肉のように刺激を与えてほぐすことができませんでした。そこで大谷内先生が智恵と工夫を重ねて考え出したのが“8の字ゆらし”です。

 ヒントは「釘抜き」にあったとか。ペンチで釘を抜くとき、釘をぐるぐる回してから抜くと簡単に抜けますね。これは圧力(刺激)が板の奥にある釘の先まで伝わり、その周囲がほぐれているから。ここから浮かんだのが骨を釘に見たて、関節を8の字にまわす方法だったのです。

 この運動法はすべての関節に有効とのことですが、五十肩の解消にもかなり効くようです。私が口づてに教えてあげた友人・知人の中にも「確かに効果があった」と言う人が、少なくても4人います。

 先日も、久しぶりにテニスコートで会ったY氏が開口一番、「いやあ、おかげでずいぶん楽になってね。サーブもオーバーハンドで打てるようになってね」と、えらく感謝されました。

 実は、前回一緒にテニスをしたときのこと。ふだんは上からラケットを大きく振り下ろして力強いサーブを打ってくるY氏が、そのときにかぎってラケットを下から振ってポンと緩いボールを入れてきます。

 妙に思って後で訊いてみたら、しばらく前から五十肩で腕が上がらなくなってしまったと、力なく笑いました。

 五十肩とは、40歳以上に起こる原因不明の肩の痛みのこと。原因が分からないだけに改善もなかなか容易ではなく、中には箸の上げ下ろしにさえ困っている患者さんもいるというやっかいな病気です。

 そこで“8の字ゆらし”をY氏に教えてあげたところ、けっこうまめに続けたようで、1ヶ月もしたらすっかり痛みが取れ、肩も上に上げられるようになったといいます。

 肩の“8の字ゆらし”のやり方は簡単。肘掛けのないイスに座って、握りこぶしをつくった手をグッと突き出すようにしながら、大きく前後に8の字を描きます。逆回りも行います。

 次に、同じ要領で横にも8の字を描きます。それぞれ1日10〜15回くらいが目安です。

 8の字を描くとき、腕を無理して高く上げる必要はありません。痛くならない範囲で行ってください。

 ただし、石灰性腱炎タイプの五十肩には有効ではないとの由。その点は、実践する前に医師に確認されたほうがいいでしょう。
 
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2015年10月30日

【109】ホーム坐禅のススメ

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 朝、最寄りの禅寺で座禅を組んでから出社する・・・。近頃、そんなサラリーマンやOLが増えています。

 彼らの話を聞いてみると「毎日、常に前向きな気持ちで仕事に入れるようになった」「つまらないことで考え込まなくなった」などなど。とりあえず、ストレス解消にはかなり役立っているようです。

「苦しいときの神、いや仏頼み」と笑うことなかれ。実は座禅が心のリラックスを導き、心身の元気を生み出す生理メカニズムは科学的にも明らかになっているのです。そのカギはセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が握っています。

 神経伝達物質とは、体の内外からのさまざまな刺激に反応して、その情報を脳内の必要なき場所(神経細胞)に運んでいる物質のこと。代表的なものとしては、ほかにドーパミン、ノルアドレナリンなどがあります。

 ドーパミンはやる気などに反応する物質ですが、過剰に分泌されつづけると暴走し、依存症や過食症につながります。

 ノルアドレナリンはストレスに反応する危機管理物質。これも強いストレスが続いたりして増えすぎると、パニック障害やうつなどの症状を引き起こします。

 いわば、なくてはならないものだけど、ありすぎても困ってしまう連中なのです。

 さて、そこで注目のセロトニンの登場。実はセロトニンこそ、この両者の暴走を抑え、ほどよくバランスをとってくれる、いわばオーケストラのコンダクター。それがストレス解消、心の安定に結びついていくのです。

 セロトニン研究の第一人者である有田秀穂先生(東邦大学医学部教授)は、このセロトニンの分泌を促して活性を高める原動力が、腹式呼吸などリズム性の運動にあることを突き止めました。そして、この腹式呼吸こそ、まさに座禅そのものなのです。

 座禅は別にお寺に行かなくても、家でひとりでもできます。その場合、座り方など形にあまりとらわれる必要はありません。大切なのは呼吸の仕方で、意識して腹筋を使って呼吸することです。

 まず、ゆっくり息を吐き切ってから、吸います。こうすることで自然に腹筋を使った呼吸になっていきます。これを数でも数えながらリズミカルに繰り返してください。また、目は開けて行うようにします。

 さらにいえば、どうせ坐禅をするなら朝の起きがけ。天気が良ければ朝の光を全身に浴びながら行うと、よりセロトニン効果が高まるそうです。

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